つるばみの衣関連書籍集
書名 古代インドの歴史
著者 R・S・シャルマ
出版社・出版年 山川出版社・1985年
内容・目次  第1章:古代インド史の重要性
 第2章:古代インド史の再構築
 第3章:地理的環境
 第4章:石器時代
 第5章:金石併用時代
 第6章:ハラッパー文明
 第7章:アーリヤ人の到来と『リグ・ヴェーダ』の時代
 第8章:後期ヴェーダ時代―国家とヴァルナ社会の形成―
 第9章:ジャイナ教と仏教
 第10章:領域国家と最初のマガダ帝国
 第11章:イラン人とマケドニア人の侵入
 第12章:ブッダ時代の国家と社会
 第13章:マウリヤ時代
 第14章:マウリヤ朝支配の重要性
 第15章:中央アジアとの接触とその結果
 第16章:サータヴァーハナ時代
 第17章:南端部における歴史のあけぼの
 第18章:後マウリヤ朝時代の工芸・貿易・都市
 第19章:グプタ帝国の興起と発展
 第20章:グプタ時代の生活
 第21章:東インドにおける文明の広がり
 第22章:ハルシャとその時代
 第23章:半島部における新国家の形成と農村の拡大
 第24章:インドとアジア諸国との文化交流
 第25章:古代社会の変貌
 第26章:社会変化の道筋
 第27章:科学と文明の遺産
解説  著者はデリー大学の教授でインド古代史研究の第一人者。この本は1980年に高校2年生の
教科書として書かれたもの。インド古代史の各時代を考古学史料やさまざまな史料にあたって、
そこから各時代の性格を解釈した丁寧な叙述で成り立っている。
 著者は仏教を紀元前6世紀の鉄犂使用や交易の発展などを背景とした社会的・経済的不平等
を背景として生まれたものとしてとらえ、この世の中の悪をなくすための実際的な方法をすすめた
ものとしている。また仏教は「神と霊魂の存在を認めず、現実の社会制度を非難」したため下層
階級に支持されたと述べている。
 この仏教理解は日本におけるそれと大きく異なり、新鮮な視点を与えてくれる。著者はブッダは
神と霊魂の存在をめぐる論争には深く立ち入らず「目に見えないものは信じない」態度をとり、
ブッダは現実をよく知る改革者であると捉えている。ここに仏教の平等主義的側面と社会変革を
促す側面とがあることの理由がよく現され、資本主義の発展に伴う社会問題の深化とともに、「
ブッダに帰れ」の運動が起きる原因をも示唆している。
値段 3090円

参考書TOPへ