書名 | ミミヲキリハナヲソギー片仮名書百姓申状論ー |
著者名 | 黒田弘子 |
出版社・出版年 | 吉川弘文館:1995年刊 |
内容・目次 | ○序 ○第1章 片仮名を読む はじめに 1 大検注と臥田・臥料ー第1条 2 「収納」と「ユラツキ」―第2条 3 「苧綿」から「御綿」へー第3条 4 「メコトモ」と「ヲレラ」―第4条 5 「越して候」から「こと実候」へー第5条 6 使と供給ー第6条 7 百姓安堵と「コカミヲカケル」―第7条 8 「チヤウセチ」の「ウマカイ」―第8条 9 「ウセル」と逃散ー第9条 10 左女牛若宮用途ー第10条 11 三度の厨と馬の餌ー第11条 12 馬飼料の質取ー第12条 13 大検注と「ウスクマリタ」―第13条 14 安堵と逃散ー書止文 おわりに ○第2章 百姓のたたかいを見る はじめに 第1節 質取と逃亡跡 1 質取と百姓の家族 2 中世の逃亡跡 3 逃亡跡をめぐる抗争 第2節 張本と安堵 1 地頭の「教訓」付き安堵 2 百姓申状と使者 3 百姓訴訟と地頭違背の咎 4 張本と中世の村 第3節 密議と夜討 1 年貢と百姓 2 抵抗する上村集落 3 村のなかの夜討 4 百姓密議 おわりに ○第3章 片仮名で書く はじめに 第1節 書き手は誰か 1 そま(木偏に山)取り・山出し・筏下し・津出し 2 そま業をめぐる庄民と地頭 3 材木納入と追捕使・押領使 4 材木の山出しと曳夫と番頭 第2節 文字と身分 1 注文と音声と文字 2 中世前期社会と片仮名 3 庄内諸階層と識字力 4 番頭と片仮名 第3節 片仮名申状と百姓訴訟 1 片仮名文と漢文 2 「百姓目安」と訴訟 3 十三箇条は訴える 4 百姓の才覚 おわりに ○結 ○あとがき |
解説 | 本書は、中世において百姓が地頭の横暴を訴えた文書として名高い「紀伊の国阿て(弓に一)河庄」の片仮名書の百姓申状を、国語学の成果などを導入しながら読み解き、キコリ業を初めて地頭からの独立をはかりつつある百姓の姿とその戦いをいきいきと描いたもの。また文字と身分との関係を明らかにし、当時において片仮名は百姓身分を現すものであったことも明らかにした。 ここで描かれた中世初期の村における百姓の姿は、のちの中世後期たる戦国期の「自力と他力」を駆使して戦う自治的な村における百姓の姿を彷彿とさせ、それがすでに中世初期からはじまっていたことを明らかにしている。 |
値段 | 3400円 |