地獄の沙汰・・・関連書籍集
書名 徳政令ー中世の法と慣習ー
著者名 笠松宏至
出版社・出版年 岩波書店(新書)1983年刊
内容・目次  1.無名の法、有名の法
  ・民衆にとっての法
  ・史料としての鎌倉幕府法
  ・書き残された徳政令
 2.徳政令の出現
  ・中世法の世界
  ・すでに幕はあがっていた
  ・永仁徳政令を読む
  ・今さら改変に及ばず
 3.なぜ徳政なのか
  ・徳政令の評判
  ・徳政の起原
 4.天下の大法
  ・仏物、僧物、人物
  ・仏陀、人に帰らず
  ・寄進の物、悔返すべからず
 5.贈与と譲与
  ・他人和与の物
  ・タダほど高いものはない
  ・本主へもどす
 6.消された法令
  ・徳政の風聞
  ・安達泰盛の改革
  ・甲乙人とは何か
 7.前代未聞の御徳政
  ・理屈から事実へ
  ・所領もどし政策の法理
  ・永代の職。遷代の職
  ・弘安礼節
 8.人の煩い、国の利
  ・実基奏状の精神
  ・沙汰を寄せる者、請取る者
  ・弘安徳政の目ざしたもの
 9.徳政の思想
  ・田舎の習
  ・起請文の法
  ・彗星あらわる
 10.新しい中世法の誕生
  ・実際の効力
  ・法への参加
 あとがき
解説  本書は、有名な歴史上最初の徳政令、永仁の徳政令の意味を探ったものである。著者は、民俗学者の折口信夫の「古代人の思考の基礎」と題する1929年の講演で、「万葉集に『商い返し』という言葉があり、古来民間では売ったものを元の持ち主に返させる習慣があって、中世に民衆の力が強くなったために、それが歴史の表面に踊りだし、有名な徳政令となった」との発言を手がかりに、永仁の徳政令が出された背景と、その社会的影響を考察する。
 著者がこの本で描写している、もともとは幕府御家人の売った所領を取り戻すということを目的に発布された法令であるにも関わらず、「関東御平均の法令」とされ、誰でもそして20年紀ではなく100年前のものまで取り返せる法令として受取られていった過程は、折口信夫を先の講演の趣旨を論証している所が、とても興味深い。
値段 430円

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