前文
子どもは,それぞれが一人の人間である。子どもは,かけがえのない価値と尊厳を持っており,個 性や他の者との違いが認められ,自分が自分であることを大切にされたいと願っている。 子どもは,権利の全面的な主体である。子どもは,子どもの最善の利益の確保,差別の禁止,子ど もの意見の尊重などの国際的な原則の下で,その権利を総合的に,かつ,現実に保障される。子ども にとって権利は,人間としての尊厳をもって,自分を自分として実現し,自分らしく生きていく上で不可 欠なものである。 子どもは,その権利が保障される中で,豊かな子ども時代を過ごすことができる。子どもの権利につ いて学習することや実際に行使することなどを通して,子どもは,権利の認識を深め, 権利を実現す る力,他の者の権利を尊重する力や責任などを身に付けることができる。また.自分の権利が尊重さ れ,保障されるためには,同じように他の者の権利が尊重され,保障されなければならず,それぞれ の権利が相互に尊重されることが不可欠である。 子どもは,大人とともに社会を構成するパートナーである。子どもは,現在の社会の一員として,ま た,未来の社会の担い手として,社会の在り方や形成にかかわる固有の役割があるとともに,そこに 参加する権利がある。そのためにも社会は,子どもに開かれる。 子どもは,同時代を生きる地球市民として国内外の子どもと相互の理解と交流を深め,共生と平和 を願い,自然を守り,都市のより良い環境を創造することに欠かせない役割を持っている。 市における子どもの権利を保障する取組は,市に生活するすべての人々の共生を進め,その権利 の保障につながる。私たちは,子ども最優先などの国際的な原則も踏まえ,それぞれの子どもが一人 の人間として生きてい<上で必要な権利が保障されるよう努める。 私たちは,こうした考えの下,平成元年11月20日こ国際連合総会で採択された「児童の権利に関す る条約」 の理念に基づき,子どもの権利の保障を進めることを宣言し,この条例を制定する。 |