太陽光発電:考察編(2003.9〜2004.8)NEW!04.10.7

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 太陽光発電装置を設置してからの1年間の発電記録に基づいて考察を加えて見る。1年間の月毎の発電記録および電気使用状況は以下の通りである。

年・月 A:発電量(kw/h) B:売電量(kw/h) C:発電消費量(kw/h) D:購入量(kw/h) A/C+D(%)
総計 3108 1725 1383 3359 65.5
2004/8 265 141 124 217 77.7
2004/7 336 177 159 210 91.1
2004/6 272 149 123 186 88.0
2004/5 254 136 118 214 76.5
2004/4 336 212 124 202 103.1
2004/3 268 161 107 363 57.0
2004/2 292 181 111 363 61.6
2004/1 262 134 128 457 44.7
2003/12 223 121 102 381 46.2
2003/11 133 64 69 313 34.8
2003/10 233 130 103 228 70.4
2003/9 234 119 115 225 68.8

1:発電量の季節的移り変わり

 月毎の発電量を見ると、秋から冬の初めはほぼ一定しているが、冬が意外に高い量の発電をしていることがわかる(11月は、例外。異例なほどの雨が多い月であり、この年は、梅雨も秋の長雨もほとんどなかったことが、11月に大量に雨が降ったことの背景であろう)。また夏は他の季節に比べて発電量が多いのだが(7月)、台風が何度もきて、何日も雨が続いた8月は逆に発電量は減っている。意外なのは、4月である。1年間で最高の発電量であり、この月は、電気使用量を上回る発電がなされている。この4月は、一月の内で一日良く晴れ渡って10kW以上発電した日が、25日もあった月である(7月は24日)。しかし同じく月に10kWを上回った日が月に22日あった2月と比べて見ると、やはり冬より春または夏のほうが日差しが強くしかも日照時間が長いことが読み取れる。

 冬が意外と発電量が多い理由は、太陽光発電システムの特性であろう。仕様書によれば、気温が高くなると、その分だけ電気に変換する効率が悪く、夏は30%減なのに対して、冬は10%減。春や秋は20%減であるという。それゆえ気温が低く澄み渡った晴れ空が続く真冬の1〜3月がかなり発電することになるのであろう。

2:電気使用量に対する発電量の割合と我が家の電気使用の傾向

 表の右端を見ると、その月の総電気使用量に対する発電量の割合がわかる。我が家の電気使用量は、ほぼ月300kW台の前半。これを大きく上回るのが、冬で、400kWから600kWになる。これは冬の暖房として居間と私と母の部屋が電気暖房になっており、1200Wの電気カーペットと1200Wの電気ストーブ2台を使用しているからである(食堂と父の部屋はガス暖房)。したがって冬は電気使用量の40%台しか発電できないことになる(2月は例外か)。これに対して夏はクーラーをほとんど使用しないために電気使用量の80〜90%の発電をしている(8月はあまりの暑さのため、クーラーがある父の部屋の電気使用量が上がったため、70%台に落ちたと見られる)。これをクーラーなしにして、冷風扇と扇風機だけにすれば、夏はほとんど電気使用量分だけ発電することができるわけである。

 ちなみに冬に100%近く発電するためには今のシステムの倍以上、つまり6kWシステムを屋根に載せないといけない計算になり、我が家の屋根の広さでは無理である。夏だけ100%にするには3kWシステムで充分であろう。

 また発電した分のうちどれだけを消費したかを見ると、我が家の日中の電気使用量がわかる。これを見るとたくさんクーラーを使用した7月を除き、ほとんど使用量が100kW台前半で一定していることがわかる。日中に使用する電気製品は、冷蔵庫と床下換気扇、および幾つかの部屋の電気とテレビだけである。我が家は南むきで冬でもよく日が当たる家であり、また東西南北すべての面に大きな窓があるために風通しも良い。さらに家の北側と西側は大きな木で囲まれているため、それゆえ冬でも南から暖かい日差しが部屋の奥にまで入るし、北からの冷たい風は遮られている。そして夏でも風が家中を吹いているので、クーラーなしでも過ごせる。

 さらに購入電気量は、夜の電気使用量にほぼ均しいのであるから、月の電気使用量は200kW台の前半。昼間に比べると約100kW増える理由はほぼ全室で電気を使用することと、2台のテレビがつけっぱなしになることであろう。

3:太陽光発電システムを取り入れた経済効率

 全体としては電気使用量の65.5%を発電している。つまり電気代が約3分の1に減ったということだ。総発電量の3108kWに22円ほどをかけた数字が減った電気代。だから、68376円。発電システムの寿命が30年だそうだから、総電気節約料金は、205万円。これでは設備投資資金を回収できない(安くしてもらって250万円。通常価格は350万円だそうだ)。これは、売電料金と購入する電気料金が同じと言う日本的な仕組みのため。ドイツのように売電価格が購入価格の3倍程度なら、1kW66円になり、これなら年に20万円となり、我が家の価格なら13年、通常価格でも18年で設備投資資金を回収できる。

 太陽光発電を普及させ、石油や石炭そして原子力による発電を減らすには売電価格をもっと高くする必要があることがよくわかる。

4:我が家のシステムの発電能力

 総発電容量は最大で2.84kW。しかし電気に変換する過程でのロスがあるために、この数字は出ない。通常午前8時台には発電量は1kWを越え、9時台は1.6〜1.8k、そして10時から午後1時くらいは、1.9kから2.1kW。さらに午後1時から3時過ぎまでは1kW台で、4時ぐらいからは1kW以下というのが通常である。家がわずかに東よりに向いているため、発電量が最も高くなるのは、12時ごろ。また西側が2階建ての家に遮られていなかったなら、あと1時間程度は1kW台になるであろう。
 したがって最大2.1kWということは発電能力の約74%であり、発電ロスが平均して約25%となり、仕様書の説明にほぼ均しい。

 雲間から強い日差しが急に出たときなどは、最大2.65kWという数字を出したことがあり、これだと93%になる。また日差しの強く、空が澄みわたっている日には最大2.3kW台で1時間ほど推移する日がある。これなら80%である。

 ほぼ仕様書に説明された通りの性能を発揮しているといえよう。

 また弱い日差しでも発電するようで、一日薄暗く空は黒い雲で覆われて雨が降っている時でも、薄日さえあれば、0.1〜0.3kWぐらいの量で発電している。したがって雨の日だと1日で1kWから2kWは発電する。一日晴れている日であれば、10kW以上となり、今までの最大は16kWであった。だから発電量を見ているだけでその日の天候も推測できる。