私の生活空間の放射能汚染状況調査体験記(2) 2014.4.3
生活環境の放射能汚染を実際に測定してみて
2011年の10月。福島原発の事故による大量の放射性物質放出によって、関東全域が汚染されてから、およそ7カ月たった時期。この時期にようやく私は、自分の生活環境がどの程度放射性物質で汚染されているのかを測定することとなった。
このときに測定してわかったことは、「kiroku1〜6」にデータは掲載してあるが、これをまとめて考察するのを忘れていた。
かなり時間が経ってしまったが、あらためてその時のことを、当時友人に送ったメールを元に、思い起こしてここにまとめてみる。
10月の初めに友人に送ったメールには次のように書いた。
下記の事実をご存知でしょうか。
ところで東京近郊、それもすでにかなり汚染されている葛飾や江戸川だけではなく、その西側の東京東部もかなり汚染されており、23区内は確実に、0.1マイクロシーベルト台、つまり年間放射線量に換算すると1ミリシーベルトを越える汚染度になていることが最近指摘されています。
政府は事故後ずっと1ミリ越えても大丈夫で20ミリまでは安心だと強弁していますが、この20ミリは事後時の原発労働者が作業をするための、危険を承知での数値ですので、一般人が通常の生活で安全だと国際的にも認められた年間1ミリシーベルトにすべきです。
この観点から、東京23区全体が、年間1ミリシーベルトをこえる情況は危機的です。
原因は、3月15日と3月22日に放射性物質の塊(雲)が福島から北東の風に動かされて飛来したこと。東部の葛飾や江戸川は22日。この放射能雲は、北茨城⇒柏⇒葛飾⇒港品川⇒川崎横浜海岸部⇒横須賀⇒伊豆⇒北転して⇒小田原⇒足柄と移動したもの。
23区の東側はこの時のものが拡散した。
西側は、3月15日のもの。
これは北茨城⇒柏⇒新宿⇒川崎横浜北部⇒相模原⇒北転して⇒八王子奥多摩⇒秩父⇒群馬西部と移動した。
この情報を最近、群馬大学の火山学者早川由紀夫氏のブログで知り、私も放射能測定器(堀場製作所製・13万円のもの)で測定しました。
10月8・9日:北区の東京家政大学キャンバス(英学史学会大会の会場)
学内の敷石の道路上1メートル:0.06マイクロシーベルト。
学内の芝生の上1メートル:0.11マイクロシーベルト。
学内の芝生直置き:0.17〜0.19マイクロシーベルト。
おそらく植え込みや道路の側溝や排水溝などではもっと高いものが検出できると思います。大学として再測定して対策を取ってくれると良いのですが。幼稚園もありますので。
10月7日:川崎市の我が家の情況
室内:0.04〜0.05
屋外の芝生:0.08
屋外の枯葉の直置き:0.09
屋外雨といの排水溝付近の草むら:0.11
庭の柿の木などの根元:0.10
家の外、側溝にたまった泥:0.16〜0.17
この泥から1メートル離れた道路の1m上:0.09
この外の泥などは通学路にあるので、即時撤去しました。
近日中に屋内の枯葉をすべて撤去し、雑草は順次撤去して、放射性物質をできるだけ除去しようと思います。
この数日後に送ったメールには次のように書きました。
側溝の泥を除去したところ、放射線量は、0.17⇒0.10に減少。水で洗えばさらに少しは下がるかもしれませんが、側溝のコンクリートは細かい穴があってそこに放射性物質が付着しているので無理かもしれません。
我が家で取れた柿の実を40個ほど山積みにして、放射線量を測定しました。
柿の山:0.07
離れた所の同じ室内:0.04
この差の0.03マイクロシーベルトの放射線が40個ほどの柿の山から出ているということ。1個だとまったく検出できないので、一個あたりの放射線量はごく微量でしょうが、口に入るものです。廃棄することにしました。
この測定結果で衝撃的だったのは、我が家で収穫される柿の実に含まれる放射性物質の量。
放射線量とその原因としての放射性物質量との関係は、放射線量で。0.001あれば、放射性セシウムであれば、その付近にキロあたり100ベクレルの放射性物質があることになります。つまり柿の実の山が周囲とは0.03マイクロシーベルト高くなるということは、柿の実全体で、3000ベクレルの放射性物質が含まれているとのことをしめしている。柿の実はおよそ4キロぐらいの量ではかったので、キロ当たり1000ベクレル以下。900ベクレル台。
政府の出した「安全基準値」は「キロ当たり1000ベクレル以下」だが、これは農業牧畜漁業が出来なくなることを恐れての数値。
この原発事故以前には、食品に含まれる放射性物質は、1ベクレルの10〜100分の1(0.001ベクレル)だったのだから、キロ900ベクレルでも危険だ。ということで、もったいないが我が家のこの年の柿の実はすべて廃棄することとした。
その後、近所で毎年購入していた梨がどの程度汚染されているかが気になって梨園付近も測定。さらに妹のところや出先の新宿や浅草も測定。測定結果を次のように友人にメールした。
10月12日実施。結論。お送りした梨を収穫した畑も、3月15日には、かなり高濃度の放射能に汚染されており、梨の実にも放射性物質が含まれていた可能性は高い。梨園の土(表面):0.081 梨園前の水路の底の泥:0.225〜0.260 梨園前の道路(1m上):0.078 全て単位はμsv/h です。放射性物質はすでに梨園の土に吸収されたか、雨で流されて側溝の泥に含まれたかです。数年間継続的に測定続けます。近日中に梨園にも教える予定。今回測定した最高度の放射線量は、我が家の側溝のマンホールにたまった泥:0.590μsv/h。あちこち身近な所に危険が潜んでいます。町内会を動かそうと測定しながら話しまくっています。妹のマンションもかなり高濃度。管理人さんに情況をはなし、ここも管理組合を動かそうとしています。僕のサイトに測定結果は順次掲載予定。以上ご報告。
川崎付近や東京西部では、放射線量は0.07μシーベルトと、通常の数値(おそらく0.03μシーベルト以下。関東平野は沖積平野だから、下部に大量の溶岩由来の岩石や、ウラン鉱石を含んでいるわけではないので、この程度と考えられる)の倍以上に上がっている。これ自身では危険性は低いと考えられるが、雨水で放射性物質が集積した排水溝や側溝の泥だと、0.2〜0.5、μシーベルトとかなりの高数値。これを放射性物質の量に換算すれば、キロあたり2000〜50000ベクレル。この下水の汚泥と同様に、水によって放射性物質が集まる農産物は危険なレベルにあると、我が家の柿の実の例でみて考えた。
つまり柿の根元で0.10μシーベルト。放射性物質の量は、1000ベクレル。それが柿の実に移行した数値が300ベクレル。
同じことが近所の梨園の梨の実でも起きているだろうし、我が家付近と同程度の汚染程度と考えられる、近所の土で栽培された野菜にも移行していることであろう。
これは当面は、関東の野菜や果物は口にできないと考えられ、買い物では、北海道や西日本のものに限定することとし、乳製品は、どこのものを使用しているのか明記しない明治乳業のものの宅配をただちに辞め、スーパーで、北海道または西日本の原乳を使用していることを明記したものを購入することとした。
以後、ネットで食品の放射性物質含有測定結果を気にすることとしながら、毎日口の中にはいる食べ物の産地を気にして暮らす日々が始まることとなった。
放出された放射性物質の半減期を考えれば、この闘いは10年以上続くと覚悟して。
ただし、我が家の庭の枯葉を処分したり、草を刈って放射線量を下げる努力は、しないことにした。理由は、それほど高い危険な線量になっているわけではないからだ。それなのに放射性物質を除去しようとすると、除染した物の処分先が問題。市が収集するごみに出せば、焼却炉の灰に放射性物質が多量に含まれて、その処分が問題になる。
ならば自然に任せ、年月がたてば問題ない程度の放射線量に下がっていくので良いのではないか。
こう考えて、我が家の庭の除染はやらないことに。
同様に考えて、近所の梨園に状況を通報したり、妹のマンションの管理組合に通報することは辞めた。
それぞれ各自が現状を把握して考え、対応すればよい。こう考えて、自分のサイトに放射能汚染の状況と考察を掲載するだけにした。