教育改革は本当に進んでいるのか?(3)
今の学校はそこで行われている教育の質も問題ではあるが、その教育を作り出す人的物的条件があまりにも貧困な事も問題だと思う。
人と言えば教師の不足がすぐ思いつくが今必要なのは教師ではないと思う。
学校とは様々な専門的技能を持った人々が子どもの学習を助ける目的で共同する共同企業体といっても過言ではないと思う。でもその専門職種
が現在のところ教師しかいないに等しい。
例えば事務職員。
小中学校はかなりの大規模校でもないかぎり事務職員は一人しかいない。したがって様々な仕事を教師がしなければならなくなる。例えば生活保
護を受けている家庭の子どもの修学旅行の費用や遠足の費用の申請や其の他の子どもの毎月の諸会費の納入状況を調べ、支払われていない家
庭に督促状を出したり、そうして集めたお金を業者に支払ったりなど、かなりの金銭出納に関する事を教師が仕事の合間にしなけらばならない。
学校に必要な物資を調達し管理するのが事務職員の主な仕事でありこれは財務事務に関する専門的な知識と、各物品とその業者についての知
識を要する。私の学校と同規模の県立高校だと事務職員は4〜5人と増え、教員がこれらの仕事をする必要はない。
また用務員(正式には業務員)という専門職もあるがだいたい1校に女性が一人と男性が一人。
校内の清掃から破損の修理。さらには庭園の維持管理から学校の訪問者の接待まで、幅広い業務を担っている。したがってこのかたがたは様々
な技能を持っておられ植木職人顔負けの方やなんでも作ってもらえる工務店かおまけの方も居る。
学校はいろいろな行事がある。体育祭・文化祭・・・・。そんなときのさまざまな看板やアーチや建築物。多くは美術科や技術科の職員の指導のもと
生徒が作るが、もっと専門的な工作技能がある方に教えてもらうと、もっと良いものができる。
幸い私の学校の用務員さんは美的センスもありほんとに様々なものを作ってくれる。でもふたりでは足りない。
さらに図書館が今まで以上に重要であるが小中学校では図書館司書は一人も置かれていない。
司書教諭というものを平成12年までに一人置く事になっているが司書と違い図書館専任ではないし図書選定・分類・整理・管理の専門的知識も有
しない。そのため学校図書館はいつも未整理のままであり、雑然とした状態で資料は使いにくい。使える図書館は少し知識がある教員が勤務時間
外に労働奉仕して維持している状態。
ほかにも必要な専門職員がたくさんある。
中学校なら部活動の指導員と言う専門職員が必要。
現在は教員が兼ねているため、放課後の時間も土曜日曜祭日も部活指導に当たるため、教員本来の教科指導の学習や研究や準備に当てる時
間がないほど。しかも部活動の種目の専門的知識がないものがおおい。
教科の学習にしても教員だけでは不充分。
生徒の興味を広げ深め、認識を深めるためには教員以外の専門的な知識や技能を持った人々に教えてもらう方が有効だと思う。
近年職業学習のために地域の各職業の方に講義してもらったり地域の事業所に職業体験で行かせてもらったりしているが、全て無給。もっと様々
なひとに援助をしていただける体制をつくり、学校に専門的職員を多く配置するとともに、様々な専門的知識や技能を持った人々にキチンを指導料
を支払って教えてもらえるようにして欲しいと思う。
人的な面でも学校はあまりに貧困であると思う。
そして物的な面ではいまだにインターネットに繋がるのはコンピュータ室の20台と職員室の1台だけ(これでも良い方)。しかも普通の電話回線なの
で20台同時に使うと、インターネットの利便性はほとんど帳消し状態だとか、いまだに校内のテレビは19インチが最大とか、音楽室は一つであとは教
室で授業するとか、図書館は一クラスしか使えない広さであるとか、施設や設備面でも恐ろしく貧困だと思う。
これで「個性を尊重した」教育に変えるというのだから・・・・。銀行一行を救う金があるのならこういうところに投資して欲しい。(2000年3月17日)