<地獄の沙汰も金次第>B いざ帆を上げよA
教師:ではまず前の時間の復習からやろうね。黒板の地図を見てください(黒板に地図を書く)
教師:さてこの地図の中国から西に進んでインド・ペルシア・ギリシアとユーラシア大陸の東から西までをつないでいる道を何とよんだっけ。
生徒:「シルクロード!!!!!」
教師:そのとおり。ではなぜこの道をシルクロードを呼ぶようになったの?。
生徒:「絹が運ばれたから!!!」
教師:そうだね。絹。・・・・じゃあその絹の産地って地図の中のどこ?。
生徒:「中国!!!」
教師:はい正解。・・・じゃあインドの特産物って?。
生徒:「コショウ!!!!」
教師:そうです。コショウ。・・・そしてペルシアの特産物は?。
生徒:「ジュータン!!!!」
教師:そうだね。ジュータン。・・・最後にギリシアの特産物は?。
生徒:「金!!!!」
教師:そうだ。正解です。・・・・そしてこれらの各地の特産物がシルクロードを通って活発に貿易されるようになったのは、13世紀にこの地域を一つに
統一した国がでたからだね。
生徒:「モンゴル帝国!!!!」
教師:そう正解です。そしてこの時代には陸のシルクロードだけではなくもっとたくさんの商品を運ぶために海のシルクロードも発達した。しかしモンゴ
ル帝国はこの海での貿易には条件をつけたね。ある条件を満たす国にしか貿易を許さない。・・・どんな条件?。
生徒:「・・・・・・・?。」「モンゴルと仲良くする!!」「国と国とのつきあいがある!!!!」
教師:そうだね。・・・・で当時の日本はモンゴルと仲良くしていた?。
生徒:「してない!!!」「戦争してた!!!!!」「国と国との付き合いがない!!!!」
教師:そうです。だから日本人の商人はモンゴルと貿易できない。・・・そしてこの状況はモンゴル帝国が中国人の国の明に亡ぼされてからも続いた
んだ。・・・・日本人の商人はこの貿易に参加するためにどんな方法をとったの?。
生徒:「中国人に化けた!!」「中国人にたのんだ!!!」「中国人の船に乗せてもらった!!!」
教師:そう。要するに貿易を許可されていないのに、いろんな方法でもぐりこんだんだね。・・・でそれが見破られたり、貿易が成立しなかったりする
と・・・・・・・・
生徒:「中国の家を襲う!!!!!」「火をつける!!!」「金になりそうなものを奪う!!!!」
教師:そう。要するに海賊になったんだね。・・・・でこの日本人の海賊があまりに強く大規模で手がつけられなかったので中国や朝鮮の人はこれを何
と呼んだの?。
生徒:「倭寇!!!!」
教師:そう。正解。倭寇。・・・・・教科書の78ページの写真を見てみよう。これが倭寇だね。
教師:さあこの人たちの服装に注目してみよう。
生徒:「・・・・・・・・・・・・・・?。」「あっつ、はだしだ!!」「ズボンはいてないぞ!!!」「えっつふるちん????」「はいてるだろ。なんか。」
教師:そう。なんかはいてる。日本人の男の伝統的な下着・・・・・。
生徒:「ふんどしだ!!!!!」
教師:そう。正解。ふんどし。・・・ふんどし一本のはだか同然でその上に一枚上着をはおって、そこに刀を一本腰に差しただけ。・・・・これって戦さす
るかっこうとしては何か変だよね。
生徒:「よろい着てない!!!」「かぶとかぶってない!!!!」
教師:そう。要するに身を守るものを身につけていないんだ。・・・・・そこで問題。倭寇の人たちはなぜ裸同然の格好で攻めて行ったんだろう?。
生徒:「・・・・・・・・・・・・?。」「・・・軽いから?。」「あっつわかったぞ!!」
教師:○○くん。どうぞ。
生徒:「はい。よろいやかぶとをつけてないから身が軽くて、逃げるのにちょうどいいから。」
教師:そうです。正解です。・・・・倭寇って何に乗って中国の村や町を襲うの?。
生徒:「船?。」
教師:そう。大きな船で沖までつけて、そのあとは小船に乗り換えて町や村を襲い、金目のものを奪い取るや一目散に船に走り、あっという間にいな
くなる・・・・。(へえーすげー、逃げ足が速いんだ。)
教師:そう。逃げ足が速い。・・・・・資料集あけてごらん。・・・57ページ。
教師:左が追っかけてきた中国の船。右が倭寇の船。・・・・倭寇の人たちは裸同然だけど、中国の人たちは・・・・・?。
生徒:「よろい着ている!!!」
教師:そう。よろい着ている。・・・・・・ということはどっちの船が重くなる?。
生徒:「中国!!!」
教師:そう。中国。だから倭寇の船は逃げ足が早い。ちょこっと戦ってあとは一目散に沖にまっている船まで逃げる。・・・そして沖には、そのページの
すぐしたの絵のような船・・・。
生徒:「けっこう大きいね!!」
教師:そう。けっこう大きい。・・・・こんな船で中国や朝鮮の海岸一帯を襲ったんだね。・・・その範囲が同じページに地図になっている。
生徒:「ずいぶん広い地域を襲ったんだね。」
教師:そうだね。・・・時には河をさかのぼって内陸の町や村を襲ったというし、最大規模の倭寇は、1000艘の船に乗っていたという。
生徒:「1艘に5・6人として・・・・・6000人!!!!」「すげー!!!!!」
生徒:「先生!!。倭寇って中国や朝鮮から何を取ってきたの?。」「金目の物に決まってるだろ!」
教師:うん。それはね。・・・・・・・・後に中国と正式に国と国とのつきあいを始めて貿易をしたころと同じ物だと思うよ。・・・・資料集の同じページに貿易
関係図がのっているね。
教師:中国や朝鮮からは日本に何が来ているかな?。
生徒:「絹織物!!!!」「木綿!!!」「生糸!!」「銅銭!!!」「水墨画!!!」
生徒:「水墨画って何?。」
教師:うん。墨だけで書いた絵なんだけどね。・・・・どこかにないかな?。・・・あった。資料集の66ページの一番下の絵。
生徒:「これが水墨画?。」
教師:うん。・・・これは中国で書かれたものではなく、後にその技術を学んで日本人の雪舟という人が書いたんだけどね。こういう絵を日本の御金持
ちは大変好んだということだそうだよ。
生徒:「へえー!!。知らなかった。」
教師:じゃあ。他にもあるかな。中国や朝鮮から来た物?。
生徒:「仏教の経典!!!」「陶磁器!!!」
生徒:「陶磁器って何?。」
教師:陶磁器はね、陶器と磁器。陶器ってのは土をこねて焼いたもので、磁器はそれに上薬っていうものをつけて焼いたもの。・・・みんなのうちに茶
碗あるでしょ。お皿とか花瓶とかもあるね。・・・あれのことを磁器っていうんだ。土でできた器の上にどガラスでできた絵の具を塗ってねもう一度
1000何百度という高温で焼くとね、ガラスが溶けて土の器の表面の小さな穴にまで染み込んで、ガラスの膜で土を覆い、強くしてくれるんだ。
それにいろんな色が使えるから、とてもきれいな器になるしね。
生徒:「へえー、知らなかった!!」「御茶碗みたいなのなんで中国から持ってくる必要があったの?。」
教師:うん。当時はね。日本ではまだ磁器は作れなかったんだよ。普通の人がご飯を食べる御茶碗は木で出来ていてね、みんなみたいな瀬戸物の
御茶碗でご飯を食べていたんじゃあないんだ。
生徒:「高いから金持ちしか瀬戸物の御茶碗を使えないんだ。」「だから中国からわざわざ持ってくるんだ。」
教師:そうだね。だから高く売れると言うわけだ。
生徒:「中国や朝鮮からいろんなもの持ってきてどれくらいもうかるの?。」
教師:良い質問だね。そこが大事だ。・・・・・じゃあ、資料を配ろう(資料D外国貿易の利益を配る)
<地獄の沙汰も金次第> 資料D 外国貿易の利益 @経費の安い外国貿易 中国(朝鮮)との貿易が正式に認められると、経費は安くなった。 中国(朝鮮)の港にいる間の食料費や人をやとう費用などは全て中国(朝鮮)政府が 負担した。だから貿易船を出す者の負担は行きかえりの食料費や人件費、そして船の借 り賃や修理費だけになる。 A積荷はいくらで売れたか? ○積荷:刀剣900振り 蘇木すぼく(蘇芳すおうの木)1600斤きん(6360kg) 硫黄364000斤(218400kg) 銅152000斤(91200kg) 槍91本 ○中国が買い上げた値段 94262貫かん(2827860000円) ※室町初期の値段と比べると 刀剣3分の2 蘇木15分の1 硫黄20分の1 銅5分の1 B中国で得たお金をどうするか? (1)お金を持ち帰る (2)日本で高く売れる品物を買って帰り売り払う。 生糸⇒20倍の値段で売れる 絹織物 砂糖 陶磁器 C貿易の純利益は? 中国(朝鮮)から持ちかえった品物を売った代金から経費を差し引くと 純利益=1万貫 〜 2万貫 (300000000円) (600000000円) |
生徒:「3億円・6億円!!!!」「すげー!!!!!」
教師:うん。これは中国と貿易をはじめたころに比べれば半分以下の利益になっているといわれている。だから貿易を始めたころはもっと利益は大
きいし、倭寇なら経費はもっと安いわけだから大もうけだね。
ではここで問題です。「貿易がもうかることがわかった時、日本の金持ちや貴族・将軍・大名はどうしただろう」。ノートに自分の意見をかいてく
ださい。
(各自ノートに自分の意見を書く)
教師:だいたい書けたかな?。・・・・・・・・・じゃあ班にして討論してみてください。
(各班の討論)
教師:では、各班の意見を発表してもらおう。・・・・・・はい、6班。
生徒:「はい。6班では貿易がもうかることがわかったので、貴族や将軍などは自分も海賊になって朝鮮や中国を襲ったという意見と、倭寇の人たち
に金をやって中国や朝鮮を襲わせたという二つの意見が出ました。」
教師:なるほど。・・・・・自分も海賊をやるか海賊をやとって襲わせるね。・・・・・他にはどうだろう。・・・・はい1班。
生徒:「はい。うちの班も6班と同じで海賊をやるでした。」
教師:そうですか。では他の班は?。・・・・・・・はい。3班。お願いします。
生徒:「はい。うちの班では、将軍や大名は倭寇を襲って、倭寇たちが持ってきたものを取り上げて貿易の利益を一人占めしたという意見が出まし
た。」
教師:なるほど。倭寇を襲ってもってきたものを取り上げるね。・・・・面白い意見だ。・・・では、他の班は?。・・・・はい。4班お願いします。
生徒:「はい。6班や1班と同じ意見もでましたが、ちょっと違うものがあります。」
教師:どんな意見ですか?。
生徒:「はい。中国の陶磁器や墨絵が高く売れるので、それとそっくりなものを日本で作って高く売るという意見です。」
教師:なるほど。中国のものと同じ物を作ろうとするわけですね。
生徒:「ちょっとおかしいと思います。陶磁器は中国でしか作れないのにどうやって日本で作るのですか?。」
教師:おっつ、大事なところですね。4班答えてください。
生徒:「はい。中国でしか作れないんですから中国に行って陶磁器を作るところにもぐりこんで、その技術を盗んでくるんです。」
生徒:「はい。中国はその技術を教えないと思います。教えたら陶磁器を高く外国に売れなくなるじゃあないですか。」
生徒:「はい。日本人には弥生系の顔の人が多いし、この顔を中国人に良く似ているからこっそりもぐりこんで技術を盗むんです。」
生徒:「なるほど!!!!」
教師:なるほどね。中国の技術を盗んでくるね。・・・・面白い意見だ。・・・・他にはどうでしょうか。・・・・・はい。5班。
生徒:「日本の商人が倭寇をやったのは、中国と国と国との付き合いがなくて、貿易が許可されなかったからです。だから中国と国と国との付き合い
を始めれば貿易できます。」
生徒:「はい。質問!!」
教師:はい。■■くん。どうぞ。
生徒:「はい。だれが中国と国と国との付き合いをするんですか。商人にはそんなこと出来ないから倭寇をやったと思います。」
教師:はい。5班答えてください。
生徒:「はい。今考えている問題は、貿易がもうかることがわかった時に、日本の金持ちや貴族・将軍・大名はどうしたかですよね。・・・・将軍や貴族
や大名というのは日本を動かしていた人たちだから、この人たちが海賊をやる必要はないと思います。将軍が中国の王様に使いを出して国と
国の付き合いを始めれば貿易ができます。だから中国と付き合いをはじめて貿易をやり、貿易の利益を一人占めしたと思います。」
(なるほど!!!!。うまいなー!!!)
教師:なるほど。中国との国と国との付き合いを始めれば海賊する必要がなくなり、貿易ができるですか。
生徒:「どれが正解ですか?。」
教師:うん。それはね。4班と5班の意見だね。(ヤッタ―!!!) 最初に中国との国と国との付き合いを始めて貿易を行い、そのうちに日本でも
その技術を学んで作り始めるという形だけれどね。
じゃあ、教科書をあけてみよう。・・・・78ページ。・・・・78ページの下から4行目からを読んで見よう。
(教科書の記述) 明は、日本の倭寇の取りしまりをもとめてきた。義満は貨幣を輸入し幕府の収入を増やそうと考えて、明の要求を 承諾し、明の皇帝につかえる形で国交をひらいた。遣明船は、倭寇と区別するため、勘合を用いたので、この貿易 を勘合貿易をという。 |
生徒:「先生!!。義満って誰ですか?。」
教師:室町幕府の3代目の将軍で、足利義満というんだ。
生徒:「先生。『明の皇帝につかえる形で国交をひらく』ってどういうことですか?。」
教師:うん。国交ってのは国と国との付き合いをするってことだね。・・・そして明の皇帝につかえるってことは義満が明の皇帝の家来になるということ
なんだ。・・中国は昔から家来になった国にしか貿易を許さないんだよ。それで義満も貿易を始めるには中国の皇帝の家来になるしか方法がな
いので、『明国皇帝 臣 日本国王 源 義満』(板書する)なんて名乗って、中国の皇帝の家来になって貿易をはじめたんだ。
生徒:「へー、長い名前!!」
生徒:「質問!!!」
教師:はい。△△さん。
生徒:「はい。日本国王って名乗っていますけど、日本の国王は天皇なので、将軍の足利義満が日本国王を名乗るのはおかしいと思います。」
教師:なるほど。するどい。・・良い所に気がついたね。・・・これはね当時も問題になったんだ。天皇でないものが日本国王を名乗るのはおかしいっ
てね。いろんな人から反対の声が出た。
生徒:「反対されてどうなったのですか?。」
教師:足利義満のころは天皇は力が弱まり将軍に天皇にしてもらったようなものだから、文句は言っても結局は押しきられるという形になったみたい
ですよ。・・・・まあ事実上の日本の王様である将軍が日本国王を名乗って中国と貿易したんだね。そして、その将軍が送った貿易船が倭寇で
はないという証明が必要だったので、教科書の78ページの上にあるような
「本字壹号」という札を真っ二つに切ってそれぞれを日本と中国とが持っていてこれを合わせるという方法で、海賊ではないということを証明した
んだ。・・・これを勘合というんだ。・・・・こうやって室町時代になると中国との貿易も始まり、中国のお金が日本でも広まり、いろんなものが売り
買いされるようになったんだね。
では、今日の学習のまとめをしておこう。ノートの一番下の問題をやってみよう。(各自問題に答える)
○まとめ 鎌倉時代のはじめ、モンゴル帝国ができたことで【 @ 】がさかんになり、日本の商人 たちは【 A 】となって中国、朝鮮を荒らした。この貿易がもうかることに眼をつけた【 B 】 は中国(明)と国交を結び、貿易を始めた。これを【 C 】という。 |
教師:では、答えあわせをしよう。・・・@には何が入る?。
生徒:「貿易!!!!!」
教師:そうだね。貿易。・・・・ではAは?。
生徒:「倭寇!!!!!」「海賊!!!!」
教師:そうだね。倭寇。・・・海賊でも良いね。・・・・で、Bは?。
生徒:「足利義満!!!!」
教師:はいそうですね。足利義満。・・・・で最後のCは?。
生徒:「勘合貿易!!!!!」「日明貿易!!!!」
教師:うん。正解。勘合貿易。・・・・日明貿易でも良いね。・・・・・じゃあ、今日の授業はおしまい。