〔近代日本美術の名作II〕 1994.8.13
神奈川県立近代美術館に所蔵される作品による、日本近代美術の流れを展望する企画展のII。
今回は1910年代以降から戦後にいたる作品約60点を展示している。
年代順に展示されていないのではっきりしないが、日本の美術の動きが、ヨーロッパ美術の動きの直輸入であることが、明確に示されているように思える。
萬鉄五郎の1910年代の二つの作品。「日傘の裸婦」と「田園風景」。
原色の派手な色づかいといい、形を画家の印象にそって大きく変形していることといい、当時ヨーロッパで流行したフォービズムの絵そのものである。
古賀春江の1930年代の作品。「窓外の化粧」と「サーカス」。
同じ時代のシュール・リアリズムの画家、ルネ・マグリットにそっくりである。
そして戦後になると抽象絵画のオンパレード。
独自の絵画を描いた画家はいないのだろうか。こういう疑問が、強くわいてきてしまい、ここに展示されている作品の作者達が、その技法を採用した内発的契機とはどのようなものだろうと、知りたくなった。
一度、日本の近代美術全体の流れを見てみたいものだ。