〔馥郁タル火夫ヨ〕 1994.6.2
詩人、西脇順三郎の詩と絵画を集めた展示会。
西脇は、モダニズム詩の先駆者でもあり、また10代のころに画家を志し、藤島武二に師事したこともあり、多くの油彩画・水彩画などを残している。生誕100年を記念して、その絵画と詩とを一同に集めた、意欲的な展示である。
この人の若い頃の絵画作品は、当時のヨーロッパ絵画の傾向そのまま。とりわけ、原色の強烈な色彩を多用した、フォービズムそのものといって良いものが多い。
この人独自のものが見られ、落ち着いた雰囲気が絵に出てくるのは、晩年の1960年代である。
落ち着いた色。特に、青と緑を多用して、事物の形を淡く描いた作品。作品名を忘れたが、東京近郊の田園風景を描いた作品などは、前衛的な激しいものはないが、とても美しいものである。
人生の前半から晩年にいたるこの変化は、おそらく内面の心の変化に起因するのであろうが、このことが、詩作にも現れているのであろうか。
残念ながら、遠足の途中であり、30分しか時間がなかったので、詩をゆっくり読む時間がなかった。初期の作品は、シュールレアリスムの作品であるだけに、意表をついた、言葉の使い方のとても斬新な、おもしろい詩がおおかった。おもしろいというよりも、激しいといったほうが適切かもしれないが。
晩年の作品はどうだったのであろうか。絵画にあらわれたような、変化が見られたのだろうか。おもしろいテーマではある。