〔第76回院展─横浜展〕 1991.12
日本美術院の同人の作品と、第76回院展に入賞・入選した神奈川県在住の画家の作品を中心とした絵画展。全て、日本画である。神奈川県美術展で、日本画の新しい流れに触れて感銘を受けたので、今度は、伝統的な日本画の流れの中心である、日本美術院に所属する画家の作品を見てみようと思った。
全体的には、大家といわれる画家達の作品は、伝統的な花・蝶・風・月の世界であった。美しくはあるが、日本の伝統的な風物を描いただけということが多く、印象は弱い。そこには、自分が生きている時代に対する感性が感じられないし、そこに生きている作家個人が見えてこない。
ただ、比較的若い世代の作品に、大家とは違った、新しい流れを感じた。同じ伝統的な風物を描いていても、絵の構成の仕方に、対象に対する画家の思いが現れ、中には、写実から離れ、印象的に描いたり、形や色を変形して描いたりという作品が見られた。これらの作品は、院展の中ではあまり高い評価を得ていなかったが、ここにも、日本画界の変化が垣間見られるのではないだろうか。