〔ホガース版画の魅力〕95.12.23


 18世紀半ばのイギリスで活躍した銅版画家ホガースの代表作品の展示。

 極めて風刺のきいた絵である。資本家の進出と貴族の零落の中での、頽廃した風俗を、とても克明に、しかもよりどぎつく強調して、描くことにより、時代を風刺しようとした作品ばかり。

 登場する人物の一人一人の仕種や表情に全て意味があるようだ。とても生々しく描かれている。

 このホガースのすぐあと18世紀の後半から19世紀の中頃の日本において、多くの浮世絵版画家が輩出し、これもまた、世相に対する風刺のきいた絵をたくさん描いたことと考え併せてみると、とても興味深いことである。

 日本とイギリスの社会は、その技術水準は異なってはいても、ほぼ同じ発展状態にあったことが窺われるのである。

 それにしても「風刺絵」の展示にしては不親切である。解説のリーフレットで、一つ一つの絵に意味があり、鋭い社会風刺がこめられていると書いておきながら、一枚一枚の絵には、詳しい解説をつけてられてはいない。やはり、知識がなければ見られない絵なのに。

 不親切きわまりない。


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